ジストニア・手のふるえ外来
ジストニアの治療
ジストニアは本人が意識しないのに筋肉が勝手に収縮してしまう病気で、原因不明であり治療法も確立されていません。症状が手など特定の部分に現れるジストニアを局所性ジストニア(フォーカル・ジストニア)と呼びます。
酒井院長は20年以上にわたり音楽家のジストニアの治療に取り組んできました。音楽家のジストニアは手に現れる局所性ジストニアが多く、演奏時に特定の指が突然曲がってしまう症状が一般的です。演奏以外の箸を使ったり洗髪する動作などでは何の異常もありません。
この、特定の動作で発症するジストニアを動作特異性ジストニアと呼び、字を書く時だけに起こる書痙や、美容師がハサミを使うときのみに症状が出る職業性のジストニアがあります。
さかい院長は長年音楽家のジストニアの原因と治療法を研究してきました。音楽家の脳を機能的MRIで調査したこともあります。
この経験を基に、さかい整形外科では手の局所性ジストニアの治療を行っています。
治療には楽器や器具を使ったリハビリテーション、物理治療、漢方薬を含む薬物治療から、ボツリヌス注射まで、あらゆる手段が動員されます。ボツリヌス注射は自費診療になりますが使用資格の認定が必要で、酒井院長は毎年認定医としての資格を更新しています。
また最近では「音楽家はジストニアになりやすい」との風評が広がり、腱鞘炎なのにジストニアを心配する音楽家や音大生が増えています。腱鞘炎によって手指がひきつった状態がジストニアに見えているのですが、まずは正確に診断して、本当にジストニアなのか確認することが大切です。
手のふるえ(振戦)の治療
体が無意識にふるえる症状を振戦(しんせん)と呼び、発症パターンによって次の4つに分類されます。
安静時振戦:安静時に症状が出現し、動作を始めると消失する。
姿勢時振戦:一定の姿勢を保つと出現する。
動作時振戦:動作を始めると出現し、し終えると消失する。
企図振戦:目標を目ざした動作で目標に近づくほど症状が増大する。
振戦はパーキンソン病、バセドウ病、糖尿病による末梢神経障害など、特定の病気による場合は各々の病気治療が主体となります。薬剤性振戦の場合は原因となる薬剤を減量したり中止することもあります。
背景となる疾患のない原因不明の振戦は本態性振戦と呼ばれ、全人口の2.5~10%に認められるほど、日常でよく見かける症状です。年齢に伴って増加するため、老化の関与が指摘されています。
さかい整形外科では手の本態性振戦を対象として、ジストニアとともに治療しています。